『刀剣乱舞』に新たな刀剣男士「安宅切(あたきぎり)」が発表され、大きな話題を呼んでいますね。
「クール!」「杖を持っているのが良い…」など歓喜している方も多くみられました!
キャラを深く理解するために、そもそも「安宅切」とはどのような歴史を持つ名刀なのか、解説していきます!
「安宅切」は、室町時代に作られたとされる刀です。
備前長船派(びぜんおさふねは)の刀工、祐定(すけさだ)によって作られました。
黒田官兵衛の愛刀として有名です。
「安宅切」と呼ばれるようになったのは、黒田官兵衛が、1581年(天正9年)の豊臣秀吉による四国攻めの際、淡路国の安宅河内守(あたきかわちのかみ)をこの刀で討ち取ったことに由来するとされています(諸説あり)。

安宅切の茎(なかご/柄に隠れる部分)には、「あたき切脇毛落(あたきぎりわきげおち)」という文字が金で刻まれています(金象嵌という技法)。
この銘は、以下の意味が込められています。
➀あたき切
安宅河内守(あたきかわちのかみ)をこの刀で討ち取ったことを記念する名前。
②脇毛落(わきげおち)
刀の試し切りにおいて、人体の「脇毛」のライン(両腕を上げた際に、脇と脇を結ぶ、胴体を斜めに横切る線)を一太刀で完全に切断できたことを示します。
(当時、 試し切りでは、主に罪人の遺体を用いて行われました。)
つまり、「あたき切脇毛落」の銘は、「この刀は安宅を討ち取った刀であり、しかも最も難しい斬り方でも完璧な切れ味を持っている」という、切れ味の保証書のような役割を果たしていたのです。

国宝の刀、「へし切長谷部」との深い繋がりも注目ポイントです。
安宅切には、「金霰鮫青漆打刀拵」という豪華な拵(こしらえ)が付属しています。
以下の写真のような、鞘を青漆と金霰鮫で大きく色分けし、金具に各種の地金を用いた豪華な作りのことです。

結論として、この安宅切の拵(こしらえ)こそが、国宝「へし切長谷部」の「手本(本科)」になったと考えられているのです。
歴史的に見て、安宅切は長谷部の外装デザインの元祖であり、国宝「長谷部」の「顔」の一部を作り上げた、非常に重要な刀剣なのです。

実際に刀剣男士を並べてみました!
似ているところが多数ありますし、ビジュアルが強すぎてにっこりしてしまいます。
安宅切が、長谷部の拵の「本科」になった、という部分もファンにはたまらないポイントなのではないでしょうか。
ちなみに、実際の刀はどちらも、福岡市博物館に所蔵されていまです。
興味がある方はぜひ見に行ってみてくださいね。
